御前崎市における津波対策の現状とこれから

令和3年11月

1.静岡県第4次地震被害想定とは

 静岡県では、平成23年に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)を教訓とし、また、国が実施した南海トラフ巨大地震の被害想定を踏まえ、静岡県第4次地震被害想定の策定に取り組んできました。

静岡県防災・原子力学術会議の地震・火山対策分科会と津波対策分科会における専門家からの御意見や御助言を受けながら検討を進め、平成25年6月に第一次報告、平成25年11月に第二次報告を公表しました。

 今回は、「発生頻度が比較的高く、発生すれば大きな被害をもたらす地震・津波」を「レベル1の地震・津波」とし、さらに、東日本大震災の教訓から、「発生頻度は極めて低いが、発生すれば甚大な被害をもたらす、あらゆる可能性を考慮した最大クラスの地震・津波」を「レベル2の地震・津波」とし、駿河トラフ・南海トラフ沿いで発生する地震・津波と相模トラフ沿いで発生する地震・津波のそれぞれについて、これら二つのレベルの地震・津波が発生した場合の静岡県での被害を想定・試算しています。

2.御前崎市の津波対策の状況と今後の方針

<ソフト対策>

 まず、ソフト対策についてですが、最大クラス(レベル2)の津波に備え人命を守るために、住民の迅速かつ主体的な避難を最重要な対策と位置づけ、避難を後押しする対策を実施してまいりました。

 具体的には津波避難タワーや津波救命艇など避難場所・手段の確保対策を進めており、これにより市内の避難困難エリアの解消が令和3年度中に達成できる見込みで、ソフト対策としては一区切りつくと考えておりますが、今後も、その時々において地域と相談しながら対策検討・実施をしてまいりたいと思います。

 一方、今後も引き続き、避難を軸に市民の生命を第一に守るため、地域でのワークショップ等の開催を進めていく中で、市民一人ひとりが津波に関する正確な知識や発災時に取るべき行動を理解し、自らの判断で避難行動がとれるよう、周知を図るとともに、実践的な津波避難訓練等を皆様と共に継続して実施してまいります。

 今後も、防災・減災に係るソフト対策の取組につきましては、その時々において地域と相談しながら検討・実施してまいりたいと思います。

 

<ハード対策>

 次に、ハード対策につきましては、レベル1の津波に対し遠州灘沿いの海岸で森の防潮堤整備や河川堤防かさ上げを実施しました。駿河湾沿いにおいては、御前崎港周辺のレベル1の津波を防ぐ防潮堤の改良(嵩上げ)工事を現在実施中です。

一方で、最大クラスの津波につきましては、静岡モデル防潮堤の整備検討を実施したところ、沿岸部の森林が狭く防潮堤幅の確保が難しいこと、既存施設の移転が困難なこと、整備には巨額の費用(約400億円)が必要なこと、などが課題として挙がってまいりました。

 そこで、前述の人命を守るソフト対策をまずは推進することとし、L2防潮堤等の新たな施設整備や既存堤防のかさ上げ(「静岡モデル」)は、当面の間は行わないものとします。

 今後も、周辺市町の静岡モデル整備推進状況や工事内容を参考にするなど、御前崎市としての静岡モデル防潮堤の整備研究は継続しつつ、財政的なものを含め防潮堤整備の環境が整った段階で整備検討を実施してまいります。

 なお、静岡県の地震津波被害想定等が見直された場合などにおいても、その都度新たな知見を取り込みながら、県・関係機関と協力し、着実に地震・津波対策を実施してまいります。

・令和2年12月議会にて防潮堤整備について一般質問を頂きました。

更新日:2021年12月06日