中学校部活動の地域移行について

1.これまでの部活動と今後の課題

 目標に向けて、仲間と切磋琢磨し、喜んだり、悔しがったり、一体感を感じたるする部活動は、スポーツや文化活動の技能だけでなく、子どもの成長に対して大切な役割を担ってきました。日本において部活動は、戦後から高度経済成長期を経て、現在に至るまで半世紀以上にわたって行われてきました。現在では、「学校教育」の一環として位置づけられ、多くの中高生が経験する活動として定着しています。

 しかし、この部活動を取り巻く環境に大きな変化が生じています。

 その一つが全国的な少子化です。市内でも、浜岡中学校や御前崎中学校で部員数の偏りが顕著になり、一つの学校だけではチームが編成できない事態が生じており、合同チームが編成されている競技があります。また、隣接する牧之原市は、2033年(令和15年)に旧相良町の小中学校を統合し、9年制の義務教育学校の開校を予定しています。これにより、地頭方小学校の児童は、御前崎中学校に進学するのではなく、牧之原市の義務教育学校に進学することが予定されています。これらにより、2024年現在840名ほどいる中学生が、今後10年で約40%減少し、約490名になることが推計されています(図1)

 さらに、複雑化する社会状況やそれに伴う教育課題に対応するために、顧問を担ってきた教員の業務内容や業務量が年々増加しており、長時間労働が社会的問題となっています(図2)

 これらの状況から、これまでと同様の部活動数や運営体制で部活動を維持することが困難になります。その結果、御前崎市内で子どもたちがスポーツや文化活動を選択し、活動する環境の維持が困難な状況になることが考えられます。

 そこで、御前崎市教育委員会では、中学校部活動の在り方を見直し、子どもたちが今後も市内でスポーツや文化活動を選択し、活動できる環境を維持できるように検討を進めています。

御前崎市の部活動の取り組み状況

図1 御前崎市の部活動の取組状況(過去・現在・ミライ)

部活動の課題

図2 御前崎市の部活動を取り巻く課題

2.どのように変わっていくの?

 文部科学省(スポーツ庁、文化庁)は、部活動を中学校から地域へ段階的に移行することを提言 しており、令和7年度末までを「休日部活動の地域移行に向けた改革集中期間」として目標に掲げ ています。部活動地域移行は、国や県単位で行うのではなく、市町ごとに実態に応じて進めること になっています。御前崎市では「御前崎モデル」と称して、部活動を地域へ移行していくことを予 定しています。

 これまでの部活動は、中学校の教員が主となり、外部コーチ、保護者の協力を得ながら、成り立ってきました。御前崎モデルでは、浜岡中学校、御前崎中学校の部活動を再編し、既存の団体の活動の強みを生かしたり、新設したりします。これらを以下の4種類に振り分けていくことを予定しています(図3)

 まず、1.「御前崎地域クラブ」です。御前崎地域クラブについては、市が中心となって新設する計画です。現在、設立に向けて準備を進めているところです。

 次に、2.「スポーツ少年団」の活動です。スポーツ少年団の中には、子どもから大人までが活動している競技があり、すでに中学生の活動の場になっている団もあります。小学校からの活動が継続できる点と、競技者として大人と子供が関わる点等を強みとして生かしていきたいと考えています。現在、受け入れをお願いしているところです。

 次に、3.「御前崎市振興公社」および「スポーツ団体」です。御前崎市振興公社(ぷるる)は、トランポリンや水泳教室など複数のスポーツ教室を運営しており、長年御前崎市民のスポーツ環境を支えてきました。それらを拡充して、中学生の活動の場を生み出します。また、陸上競技やマリンスポーツ等は、御前崎ならではの強みを生かした活動を行っているスポーツ団体です。現在、受け入れをお願いしているところです。

 最後に、4.「御前崎市生涯学習講座」です。生涯学習講座は、社会教育課が中心となって行っている活動で、現在も中学生が参加できるものが30講座ほどあります。地域移行によって、これらの活動にも参加しやすい状況が生まれることが考えられます。今後、中学生が参加できる講座を見直していく予定です。

 上記の1~4の活動は、自由加入制で、市内外問わずに参加できる形を検討しています。また、可能な範囲で複数の活動を掛け持ちできるように検討しています。

 ただし、図3に示した種目、教室、講座名、分類は、あくまでも案であり、決定したものではありません。今後各競技団体と協議をする中で、決定していきます。

図3 これまでの部活動と御前崎モデル

図3 御前崎モデル

3.活動場所について

 活動場所は、浜岡中学校、御前崎中学校をはじめとした教育施設や、市内の公共施設を中心に検討しています。

図4 活動場所

図4 地域移行後の活動場所

4.指導者について

 指導者については、これまで中学校の教員が主となり、外部コーチや保護者の協力を得ながら成り立ってきました。地域移行にあたり、御前崎市指導者人材バンクを作り、指導者を募る予定です。

 指導者は、地域の住民や保護者、スポーツ少年団の指導者、スポーツ団体の指導者、御前崎市振興公社の職員、生涯学習講座の講師を予定しています。さらに、指導を希望する中学校を教員については、「教員」としてではなく、「指導員」として身分を切り替えて指導していただきます。

図5 指導者について

図5 地域移行後の指導者

5.費用について

 これまで中学校の部活動では、部ごとに大会参加費や協会への個人登録費、練習着やユ ニフォーム代、消耗品費等が徴収されてきました。保護者会がある一部の部活動について は、保護者会費が集められていたところもあります。

 しかし、地域移行によって、活動の母体は中学校から各団体へ、指導者は中学校の教員 から指導員や各団体の職員等に変更されます。指導者については、全国的に人材不足が懸 念されております。

 そのため、前述した費用に加えて、適正な「指導者報酬」が必要にな ってきます。  したがって、地域での活動に参加する際は、各団体や教室、講座が定めた「会費(月 謝)」を支払っていただくことになります(受益者負担)。金額については、今後各団体と 調整していきます。

図6 費用

図6 費用について

6.スケジュールについて(案)

 御前崎市では、部活動地域移行を、「休日の地域移行」と「平日の地域移行」の2段階に分けて実施していく予定です。これは、休日と平日の地域移行を同時に行うことで、送迎、時間、会場、指導者の確保等の課題が数多く生じるからです。まず、保護者の皆様の協力を得やすい休日から地域移行を開始し、各種課題を解消しながら平日の地域移行を行うことを検討しています。

 休日の地域移行は、令和8年8月より始まります。それまでは、既存の部活動が継続されることになるので、令和6年度中学校1年生と2年生については、引退するまで現在の部活動が継続されます。

 令和6年度小学校6年生については、図7に示したようになります。(これについては令和6年11月に行われた新入生説明会で説明したものです。)

 1.令和8年8月までは現在の部活動を行う。

 2.令和8年8月以降は、平日は学校で部活動、休日は地域での活動を行う。

 令和10年4月より、休日に加えて、平日も地域移行する予定です。

図7 スケジュール

図7 部活動地域移行のスケジュール(案)

図8 QandA

各種資料・アンケート

Q&A集

今後、アンケートに記載された質問に対する回答を随時更新いたします。