損害賠償請求権等行使請求事件(二次避難所整備補助金)
令和3年(行ウ)第28号 損害賠償請求権等行使請求事件
原告:個人(市民2名)
被告:御前崎市長
訴訟の提起
原告らは、被告に対し、平成30年度に池新田方面隊が計画、整備した二次避難所は、避難所として不適地、不必要な事業であって、市及び池新田財産区が支出した補助金は違法支出として、訴外関係者5名、工事関係事業者3者に対して1,500万円等を市に賠償するよう請求することを求めて、令和3年10月21日付けで静岡地方裁判所に訴状を提出した。
市(被告)の主張
本件訴訟は、地方自治法第242条の2に基づく住民訴訟であり、その前提となる適法な住民監査請求を経ていないため、同条の要件を欠き違法である。原告らの訴えは、訴訟に値する理由が無く、却下を求める。
訴訟の経過
令和3年10月21日(木曜日) 提訴
令和4年1月14日(金曜日) 第1回期日_口頭弁論
令和4年5月27日(金曜日) 第2回期日_口頭弁論
令和4年7月7日(木曜日) 第3回期日_書面準備手続
令和4年9月9日(金曜日) 第4回期日_口頭弁論(結審)
令和4年12月23日(金曜日) 判決言渡し
判決主文
1.本件訴えをいずれも却下する。
2.訴訟費用は原告らの負担とする。
裁判所の判断(判決抜粋)
原告らは、本件交付決定の対象である事業が二次避難所の整備を目的とするものではなく、実際にはグラウンドゴルフ場及びサッカー場の整備を目的とするものであり、本件事業の関係者である関係人らが不当な利益を得る目的で行われたものであったなどとして、本件支出命令及び本件支出が違法・不当である旨を主張する住民訴訟である。
本件支出命令がされたのは令和2年1月15日、本件支出がされたのは同22日であり、原告らが本件監査請求をしたのは令和3年8月31日であるから、地方自治法242条2項本文所定の1年の監査請求期限を徒過している。
原告らが監査請求期限を徒過して本件監査請求をしたことにつき、地方自治法242条2項ただし書にいう「正当な理由」の有無は、特段の事情がない限り、普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみて当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断すべきものである(最高裁平成10年(行ツ)第69号同14年9月12日第一小法廷判決・民集56巻7号1481頁)。とされていることから、原告らは、遅くとも令和2年12月25日時点において、本件監査請求において原告らが問題とする本件交付決定の対象である本件事業の概要を含む本件支出命令及び本件支出の存在及び内容について知り得たというべきであり、本件支出命令書等の入手を待たなければ本件監査請求をするに足りる程度の情報を得られなかったとはいえない。
したがって、原告らの主張は採用できない。
以上のとおり、本件訴えは、本件監査請求が、地方自治法242条2項本文所定の監査請求期間内にされたとはいえず、監査請求の徒過につき同項ただし書にいう「正当な理由」があったと認めることはできないから、適法な監査請求の前置きを欠く不適法な訴えである。
以上によれば、本件訴えは、いずれも不適法であるから、これらを却下することとして、主文のとおり判決する。
- この記事に関するお問い合わせ先
更新日:2023年01月20日