陳述の機会付与の申出に対する不作為の違法確認等請求事件
令和5年(行ウ)第19号 陳述の機会付与の申出に対する不作為の違法確認等請求事件
原告:個人(市民11名・市議1名)
被告:御前崎市・個人2名(当時の監査委員)
訴訟の提起
(請求1)原告らが御前崎市監査委員に対して行った住民監査請求について、御前崎市監査委員が原告らに陳述の機会を与えないことの不作為の違法確認を求めるとともに、(請求2)御前崎市監査委員が陳述の機会を与えないこと及び監査を行わなかったことは違法であるとして、御前崎市及び御前崎市監査委員個人に対し国家賠償法1条1項に基づき損害賠償として慰謝料の支払いを求めて、令和5年5月18日付けで静岡地方裁判所に訴状を提出した。
市(被告)の主張
請求1
本件監査請求は、地方自治法242条2項本文所定の監査請求期間を徒過していることが明らかであり、またそのことについて同項ただし書の正当な理由の主張もなかったため不適法であるから、監査は行わないこととし、本件請求人に監査結果を通知した。
地方自治法242条7項は、監査を行うに当たっては、請求人に証拠の提出及び陳述の機会を与えなければならないとしているが、本件監査請求では御前崎市監査委員は監査を行わないのであるから、本件請求人に陳述の機会を付与することはない。
よって、原告らに陳述の機会を与えないことは何ら違法ではないことから、棄却されるべきである。
請求2
御前崎市監査委員が原告らに陳述の機会を与えなかったこと及び監査を行わなかったことが違法であり、そのことにより原告らが精神的苦痛を受けたと主張し、国家賠償法1条1項に基づき損害賠償請求をしている。
しかし、上記により御前崎市監査委員が原告らに陳述の機会を与えなかったこと、及び監査を行わなかったことは、何ら違法ではない。
そして、住民監査請求というのは、監査委員に職権発動を促す契機を与えるものにすぎず、また住民は自己の法律上の利益に直接かかわりのない事項について専ら住民全体の利益のために住民という地位に基づき請求を行うことが認められているものである。そのため、監査委員が通知した監査結果が、監査請求を行った住民の個人的な権利や法的利益に影響を与えることはないことから、監査請求において原告らが陳述の機会を付与されなかったり、また監査が行われなかったことが原告らの個人的な権利や法的利益を侵害することはない。
よって、原告らには損害は発生しないことから、棄却されるべきである。
訴訟の経過
令和5年5月18日(木曜日) 提訴
令和5年9月7日(木曜日) 第1回期日_口頭弁論(結審)
令和6年1月25日(木曜日) 判決言渡し
- この記事に関するお問い合わせ先
更新日:2023年11月22日